菩提流支(ぼだいるし / Bōdhiruci)
曇鸞(どんらん)の師匠(直接的な仏教上の恩師)は、**インド出身の高僧・菩提流支(ぼだいるし / Bōdhiruci)**です。
🧘♂️ 菩提流支(Bodhiruci)とは?
項目 | 内容 |
---|---|
生没年 | 約6世紀初頭(中国・北魏時代に活躍) |
出身 | インド(北インドまたは中インドとされる) |
中国への渡来 | 北魏の時代(6世紀初頭)、洛陽に招かれる |
主な活動 | 洛陽の永寧寺で翻訳活動を展開 |
主な翻訳 | 『浄土論(往生論)』の漢訳(=天親の原典を中国に初めて紹介) |
教理 | 浄土教、特に「唯識」と「浄土思想」の架橋に貢献 |
📚 曇鸞と菩提流支の出会いと影響
🧭 出会い
- 曇鸞は、元々は道教の**不老長生術(仙道)**を探究していた。
- しかし、洛陽で菩提流支から『浄土論(往生論)』を受け取ることで転機が訪れる。
- 曇鸞は『往生論』に深く感動し、自らの道教文献を焼き捨てたと伝えられる。
🧭 師弟関係の重要性
- 曇鸞は菩提流支から受けた『往生論』を中心に、「浄土に往生する論理的・実践的体系」を構築。
- 『往生論註』は、菩提流支によって漢訳されたテキストをベースに、曇鸞が解釈を加えたもの。
🔗 系譜的意義:インド → 中国 → 日本
地域 | 人物 | 役割 |
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インド | 天親(ヴァスバンドゥ) | 『浄土論』の著者(原典) |
中国 | 菩提流支 | 『浄土論』を漢訳し中国に伝える |
中国 | 曇鸞 | 『往生論註』で浄土教を体系化 |
中国 | 道綽 → 善導 | 実践的・民衆的浄土教へ発展 |
日本 | 親鸞 | 他力思想として浄土真宗を創始 |
曇鸞の師匠は、インドから中国に仏教を伝えた翻訳僧 菩提流支(ぼだいるし)。
彼との出会いが、曇鸞の思想的転換点となり、浄土教を哲学として再構成するきっかけとなった。