PRI|Principles for Responsible Investment 責任投資原則

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PRI|Principles for Responsible Investment 責任投資原則

責任投資原則(PRI: Principles for Responsible Investment)の歴史は、社会的責任投資(SRI)からESG投資への進化、そしてそれを制度として支える国連主導の国際的枠組みの形成に連なっています。

🕰 責任投資原則(PRI)の歴史的発展

◾️ 1960〜70年代:社会的責任投資(SRI)の起源

  • ベトナム戦争やアパルトヘイトへの反対など、倫理的・宗教的動機から投資先を選別する動きが拡大。
  • アメリカでは大学基金や教会基金が、南アフリカ企業への投資をボイコット。
  • この時期の焦点は「ネガティブ・スクリーニング(特定産業の除外)」。

◾️ 1980〜90年代:企業行動と環境への注目

  • **Bhopal化学事故(1984)Exxon Valdez原油流出事故(1989)**を契機に、「企業の環境責任」への注目が拡大。
  • 一部の機関投資家が、環境・人権リスクを財務リスクと結びつけて評価し始める。
  • 1990年:米国で**Domini 400 Social Index(現MSCI KLD 400)**が誕生し、初のESGインデックスが登場。

◾️ 2000年代前半:ESGという概念の確立

  • 2004年:国連グローバル・コンパクトとUNEP FI(環境計画・金融イニシアティブ)が、報告書「Who Cares Wins」を発表
     → ESGという言葉が初めて明示的に使用される
  • 同年、報告書「Freshfields Report」で、ESG考慮がフィデューシャリー・デューティに反しないことが確認される。

◾️ 2006年:PRI(責任投資原則)の正式発足

  • 国連のコフィー・アナン事務総長の呼びかけで、機関投資家20名による作業部会が結成される。
  • 同年、PRIがニューヨーク証券取引所で正式発表
  • 初年度に約50の機関投資家が署名(運用資産総額は約6兆ドル)

◾️ 2010年代:世界的拡大と制度化

  • PRI署名機関数と運用資産が急増(2024年時点で5,000社以上、100兆ドル超)
  • PRI署名にあたっては**報告義務(Transparency Report)**が課されるようになる。
  • 2015年:SDGsの採択パリ協定によって、PRIは気候変動・人権問題への対応も加速。
  • 2017年:Fiduciary Duty in the 21st Centuryレポートにて、ESGがもはや任意ではなく必須の評価項目であることが明言される。

◾️ 2020年代:ESGへの批判と再構築

  • 一部政治的な反ESG運動(特に米国共和党州)によって、PRIやESGの定義の再評価が進む。
  • その一方で、EUタクソノミーや**サステナブル・ファイナンス開示規則(SFDR)**といった法的整備が進展。
  • PRI自身も透明性・説明責任を重視する方向へ転換し、2021年以降は署名者へのモニタリング強化

🎯 歴史の本質的意義

PRIは単なる倫理的投資から、
財務リスク管理
制度的ガバナンスの拡張
国際規範の調和
を進めるための**Topological Axial Coherence™**とも言えるような構造的な枠組みに進化しました。

PRI(Principles for Responsible Investment、責任投資原則)は、2006年に国連の支援を受けて設立された機関投資家向けのグローバルな枠組みで、ESG(環境・社会・ガバナンス)要因を投資判断やアクティブ・オーナーシップに組み込むことを目的としています。

PRIの6つの原則(概要)

  1. 投資分析・意思決定にESG課題を組み込む
  2. ESG課題を所有政策と所有実践に組み込む
  3. 投資先にESG課題について適切な開示を求める
  4. PRIの実施に関して受益者に対して適切に開示する
  5. 責任投資の実践を推進するために協働する
  6. PRIの実施効果を評価し、それを改善する

PRIの意義

  • 法的拘束力はないが、署名することにより、運用機関や資産保有者は責任ある投資家としてのコミットメントを示す
  • ESG統合を進めるための共通基準・フレームワークを提供
  • ESG要因の長期的リスクや機会を投資判断に組み込むことで、持続可能なリターン社会的な成果の両立を目指す

署名機関の種類

  • アセットオーナー(例:年金基金)
  • アセットマネージャー(例:運用会社)
  • サービスプロバイダー(例:ESG評価会社、アドバイザー)

グローバルでの広がり

  • 2024年時点で5,000社以上が署名
  • 運用資産総額は100兆米ドル超