2025/2/19 田中翔一朗
まずはじめに、TANAAKKは2006年に創業され、2013年に法人化されましたが、当初から変わらぬ企業の到達目標はこれまでにないほど、最高の会社になるという目標です。最高の会社とは、純資産規模なのか、総資産規模なのか、売上規模なのか、純利益規模なのか、営業キャッシュフロー規模なのか、フリーキャッシュフロー規模なのか、実は会社というのは物理的なトレードオフという制約条件の上に成り立っているものだということがわかってきました。2025年現在では、運用総資産(AUM)規模であればグローバル首位はでBlackrock(US$11.5 T), Vanguard, Statestreet, 時価総額規模であればApple, NVIDIA, MicrosoftでUS$3 trillion規模, 売上であればでWalmart(US$670 B), Amazon, Saudiaramco、日本国内であれば総資産ベースであれば三菱UFJ銀行(403兆円)、日本郵政(298兆円)、三井住友銀(295兆円)、売上ベースでトヨタ(45兆円)、ホンダ(20兆円)、三菱商事(19兆円)です。
最高の会社とは?
したがって、最高の会社というのは世の中を見渡してみると、さまざまなアウトプットの形があるということがわかってきました。最高の料理や、最高の掛け流し温泉、最高のワインがそれぞれ意見があり、決められないのと同様です。創業者自身、全く資産を持たない状態で、100万円のカードローンで始めたTANAAKKは2024年末現在で総資産45億円の会社になっていますが、この毎年、来年が想像できないくらいのスピードで変わっていくということにはとても大きなやりがいがあるということに気づいてきました。
最高の会社の定義
最も良いディールというのは、損をする人がいません。未来に大きなゴールを持ち、それぞれの時間や労力など犠牲を均等に支払い、世界中から力を集めてくるという企業活動という重力や時間を扱うゲームのもとでは、関係者が皆潤うという、奇跡的な結果が現れることがあります。通常、成長がなく、衰退していく国や産業では政治的争いやパイの取り合いが起こり、とてもどんよりした空気になるでしょう。技術革新、スタートアップの世界では非成長産業のようなどんよりした空気が起こらず、いつもお祭りのような高揚感が流れていることを発見しました。
TANAAKKの第二創業期 GAAS(ガース)
TANAAKKは2021年から資本金を1億円としてGAASを発表し、第二創業期を迎えました。2020年までは事業が固まっておらず、田中の1人会社だったのが、2021年からは田中、青木の2人の会社になりました。そこから4年が経ち、2024年12月末の連結決算は総資産が45億円になっていました。IRR90%の好業績で、これは自分たちが知りうるあらゆるGlobal Top企業の資本収益率を超えていました。上場株式のNVIDIAに全財産を投資していたとしてもこの資本の増加を経験することはできませんでした。世の中のあらゆるアセットクラスの投資収益、世の中のあらゆるファンドマネージャーの投資成績を未実現利益ではなく、実現利益(キャッシュ)で回収し、オーナー資本を80%に保ったまま独立経営を続けられる権利を得たのは稀有な出来事でした。
連結決算を見たときに、大自然の中で温泉に入った時の感動を味わう
まず不思議だったのは、これだけ多くのことを成し遂げてきたはずなのに、うまくいった感じが全然なく、まだまだやることがたくさんあるというエネルギーとモチベーションが高い位置で固定された感じで、かといって、不安や焦燥感があるわけでもなく、何かに飢えている感じでもありませんでした。また、これまで数字とは繊細に向き合ってきたので着地する業績はそこまで良くないのではないか、使用可能なキャッシュフローはそこまで多くはないのではないかというのが田中と青木の共通見解でした。グループ企業数が10に近づいている状態で、単体では業績が振るわない事業もあり、そのような単体決算を集めた連結決算が良い数字になっているということが、連結決算を締めて報告するまでの最後の1分までわかりませんでした。TANAAKKグループ各社の単体決算を連結消去し、最後にまとめ上がった連結BS/PL/CFを見た時の感動は、よくエアコンの効いたガラス張りの山の中のかけながし温泉で、山の上から森や、木や、海を眺め、小鳥のさえずりを聞いているような気分でした。本当に出来上がった時の法人は、まさに人が大自然に作り上げた建設物と同じで、自然に対する人間のチャレンジであり、奇跡の産物、努力によって得られた偶然の成果なのであるということを理解し、これまでにない業績を達成するという一連のチャレンジにはロジックを超えた魅力があるということを確信しました。
溢れ出る富を体験する
「連結決算をみて、掛け流し温泉に入った感覚を得る」というのは、田中、青木ともに共通した感覚でした。コロナウイルスで誰も旅行しないときに、出張のついでにいわきの掛け流し温泉に行ったことがあったのですが、誰もいない、広大な敷地と大量の湯量の温泉畑にたった二人しか客がおらず、石油のように溢れ出る掛け流し温泉を見て、使いきれない富が自分たちのものになったという実感を得たのでした。そして、ぬる湯に浸かりながら空を見ると、ロックダウンで街明かりがほとんどないなか、満点の星空が見えるのでした。
4年前と4年後の時空が繋がる
本当に誰も達成したことのないような目標を達成したときには、世の中にそのような比較できる現象がないため、現象を認知することすら困難であるということを体験した瞬間でした。本当に良いものは、これまでに体験したことのないものである可能性が高いため、その良さが理解できないのです。しかし、理解できないからといって力がないわけではなく、理解が困難であり、理解力を超えたパワーにひきずりこまれるというのが正しい表現です。この光景は2020年の5月、コロナの厳戒令で東京中に全く人がいなくなった日に、丸の内と銀座を散歩し、たまたま空いていた一番良い立地の皇居前のテナントに入居することを一瞬で決めたときの時空とドットが繋がっていた感覚がありました。
理解と、超越
誰も体験したことのないような勢いの成長を実現するということは、世の中のあらゆる急成長企業が実現した「過去の最高値」をくまなく探し、まずは理解する必要があります。その先に、これまでに人類が体験したことがないような「超越」つまり、奇跡的な偶然の産物が得られます。「超越」とはとても得ることが難しい現象です。「超越」につきものなのは、不安、焦燥、争い、嫉妬、燃え尽きなど、自分の能力を超えてしまい、コントロール不可になったものに対して出てきてしまう人間の感情的な反応です。しかし、個々の感情的な反応がマイナスに見えるようであるからといって、その「超越した力」にパワーがないかというと違います。パワーがあるものは必ずコンフリクトやハレーションを産み、その先に前人未到の結果を生むのです。
仕事に何を求めるか
TANAAKKでは、仕事に求めるものが大きい人が所属しているように思います。ワークライフバランスという言葉が流行ったとしても、たった80年の人生ですが、仕事とプライベートのバランスを取ろうとしても、結局はかなりの時間を仕事に取られてしまいます。命を仕事に取られるということです。今日の仕事時間、8時間は短く感じるので、仕事は仕事、プライベートはプライベートで分ければ良いと思う人も多いかもしれませんが、たった8時間であっても、自分の命を賭けるようなものは妥協できないと考えている人が多く集まっているのがTANAAKKというチームだと思います。TANAAKKのメンバーの多くは仕事に人生を求めているということです。今までの方法をくまなく知った上で、今までにない方法を発見し、自分たちでも想像していなかったような自然の力、宇宙の不思議に驚きを感じたいというのがTANAAKKに所属している人たちの共通の希望だと思います。
モチベーションはどこから生まれるか
人間が持つ動物との大きな違い、それは多様な言語を扱い、物質や空間に名前をつけることができるということでしょう。現象に名前をつけることができることで、人間は自分に与えられた時間が、宇宙の歴史に比べるととても短いということに気づくことができます。そして、日々注目を喚起されてしまうような出来事よりも、制限された時間の中で優先順位が高いものがあるのではないか、考えることができます。つまり、命の賞味期限、「死」を認識することができ、「死」までのカウントダウンがあるということが、人間が動く理由の最上位の前提になっています。人生が制限された命の時間であるとすると、その与えられた時間の中で何がしたいのか?を考える、そのための知性が人間にあるから、家が生まれ、会社が生まれ、製品が生まれ、愛着が生まれるのではないかと思います。偶然で人生は作られています。たまたま生まれた土地で、たまたま育った街で、なんとなしに旅をした街で、偶然関わった人たちに何か恩返しをして死んでいきたいという気持ちが会社を動かす原動力であり、個人を動かすモチベーション、エネルギーになっていると思います。偶然の産物に人間は愛着を持っており、その愛着によって世の中が動いています。
TANAAKKの組織設計と意思決定機関
まず、以上のようなエピソードを踏まえてTANAAKKが成長してきているという経緯を知った上で、この成長をさらに加速させ、大自然の素晴らしさについて感動を味わっていくという前提のもと、TANAAKKの組織のあり方を知っていくと、理解が深まるでしょう。
大企業の基本的な制度設計(インスティテューショナル・デザイン)は、株主、取締役会、経営陣、従業員、規制機関といった主要なステークホルダーの関係性を規定しており、TANAAKKは基本的な制度設計の叡智の旨みを得つつも、さらなるパフォーマンスを出せるよう、機械的な判断をせず、意思決定機関をゼロベースで組み立て直しています。