導入事例 icuco×Microsoft Azure|HITSERIES ®CICD/SRE
2023/10/22
Microsoft Azure基盤で icuco®eyesを半年でリリース。リリース後3ヶ月で1,000社の新規取引国内シェア5%を実現
保育園向け医療機器AIデバイス販売を皮切りに、保育園基幹業務SaaSと送迎用バスの置き去り防止IoTの提供で、急速に売上を伸ばしているicuco株式会社(以下、icuco)。
同社は、Tanaakk株式会社(以下、TANAAKK)のHITSERIES®︎CICD/SREにより新製品のリリースから週次のCICDによる継続的な新機能のデプロイ、本番環境の24時間監視(SRE)までを実現した。事業インフラストラクチャとして、Microsoft社のクラウド基盤「Azure」を選定。3ヶ月目でプロトタイプ開発後、6ヶ月目で製品をリリースし、9か月目で1,000社への新規販売を完了。構想から国内販売シェア5%の獲得までを9ヶ月間で実現した。現在も開発チーム30名が毎週1回新機能をリリースするCICD/SRE体制でプロダクト品質の向上を継続している。
導入ソリューション
HITSERIES®CICD/SRE
-インフラストラクチャ基盤
Microsoft Azure
Microsoft AzureDevOps(Boards,Repos,Pipelines,Test Plans,Artifacts)
Microsoft Github
Microsoft Visual Studio
Microsoft Azure Kubernetes Service(AKS)
導入前の課題(Before)
●10年で2倍に施設数が増えた保育園業界では、業務の量に対して従業者が足りておらず、ヒューマンエラーが起こりやすい環境が続いていた
●幼稚園、保育園のバスで真夏に園児が置き去りにされる事件が頻繁に起こり、社会的な課題をテクノロジーで早急に解決する必要があった。
●保育市場で普及している製品は補助金を前提とした高価なものが多く、導入や継続に課題を抱える園が多数であった。
導入後の効果(After)
●社会的需要に応えるicuco®eyesはリリース後3ヶ月で1,000社の保育園に導入され国内シェア5%を獲得。
●保育園の増加の一方で働き手が減る保育業界の需要に応えるべく、Azure基盤上で、毎週新機能をデプロイ(CICD)することが可能となった。
●サービスユーザが毎週10%増え、年で100倍になるようなハイパーグロース環境でも、ユーザ増加に耐えうるサービス保守(SRE)と機能改善のフィードバックループを実現できた
昨年同月比月商約50倍にUP
柳瀬「当社、icuco株式会社は武蔵精密工業株式会社が始めた新規事業プログラム『武蔵イノベーターズゲートプログラム2017』から始まりました。特許取得済みの寝姿勢、寝返り、呼吸予測アルゴリズム『 icuco®︎intelligence 』が搭載された乳幼児を見守るAI医療機器クラスⅠデバイス『icuco®︎touch&care』を2020年にリリースし、続いて保育業務をSaaSでスマートにする『icuco®︎book』を2022年にリリース、送迎用バスの置き去り防止IoT『icuco®︎eyes』を2023年にリリースし、毎日の保育業務で必要不可欠とされるプロダクトを継続的に設計開発し毎週新機能をデプロイ(CICD)しています。」
清原「保育園、幼稚園、こども園などの児童福祉施設は、待機児童の解消を目的とされ増加の一方を辿り、2013年には24,425園だった施設数が、2023年には48,000園を越え、10年で約2倍にまで到達しています。一方で保育従事者の数は2013年に45万人の従事者数だったところ、2023年には65万人の従事者数で1.44倍しか増えておらず。保育施設の増加に対して大幅に従事者数が少ない状況が続いており、保育士の先生の皆様や保育園に従事されている方々は、人数に対して仕事の量が多すぎるという状態が常態化しています。施設数の急激な増加や人手不足が主な原因となり、児童福祉施設や放課後児童クラブ(学童保育)での重大事故は毎年増え、施設数や利用者数の増加割合年間約2%よりも重大事故件数の方が2倍以上のスピードで増えており、2022年では過去最多の年間2,461件(対前年+114件 +4.86%)となっています。政府や業界によるガイドライン制定や報告義務化だけでは解決できない社会問題をテクノロジーで解決する必要がありました。」
古平「icucoは自動車業界出身のエンジニアが多く在籍しており、毎日の作業をなるべく標準化、反復化、自動化して、重大事故を防ぎながら安全に、より安定的な職場づくりができるよう、毎日の保育業務になくてはならないプロダクトを提供することを心がけています。icuco®eyesは、国土交通省の『送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置リスト』に登録されており、人・センサー・カメラの3つの目で見守り、見落としゼロを追求したIoTデバイスです。車内には『助けてボタン』が備え付けられており、万一、園児が置き去りにされた時にボタンを押すことで車外ホーンを作動させ周囲に知らせることができます。また、iOS、Android対応の乗降車チェックアプリと車内チェックアプリは、Webブラウザ向け自動帳票作成ツールと連携されており、いつもの送迎業務を行うだけで「乗降車の確認結果」と「停車後の車内確認結果」 を自動でデータ記録します。記録されたデータは専用アプリ『icuco®book for nanny』で帳票作成し出力することができます。
顧客要望はSalesforceで全国から集められCICDチームにデータ連携、 月間3,000件のプログラムが更新される。
柳瀬「HITSEREIS®CICD/SREによるプロダクト短期リリースと改善体制を構築し、Microsoft Azure基盤上でicuco®eyes, icuco®bookという新プロダクトをリリースした結果、ゼロからの企画構想から9ヶ月間で前年同月比約50倍の売上を実現できました。SaaSアプリケーションのコードのコミット数も月間3,000件を超えました。ユーザーからの問い合わせや機能改善要求のフィードバックはSalesforce上で全国6拠点30名の営業担当から集められ、Microsoft AzureDevOpsの開発work itemsにデータ連携されます。導入すべき機能を導入したいタイミングで稼働中のアプリにデプロイし、公開できるようになりました」
ジャウ「HITSERIES®CICD/SREチームは、常に『この開発は売上に直結しているのか?』という思いを胸に開発を進めています。『ユーザー数は毎週どのくらい増えたのか?ユーザーがどの画面に何秒滞在しているのか?』など、データをもとにユーザが毎日ログインしたくなるようなプロダクトの使い心地を追求する社内文化があります。また、『週10%ユーザが増加して、年で100倍にスケールアップしても対応できるものなのか?』を常に考える点はTANAAKKチームに特有なハイパーグロースの文化です。開発チームによって生産される毎日のプログラムコードが巡り巡って、受注増加により増収増益につながったという声を聞かせてもらえることは開発者として最大の喜びなのです。」
大手自動車系メーカーが競合製品を出してくる中、 なぜわれわれのicuco®︎eyesが選ばれるのか? チーム全体が熟考し続けています
ジャウ「HITSERIES®CICD/SREチームでは、複数の社内チームのパフォーマンスを比較し、社内、社外とのベンチマーク評価をするためにAzure DevOpsを利用しています。Azure DevOpsには日本国内及びアジア開発センターの全従業員のアクションが記録されており、プロダクトCICDに関するプロダクトロードマップ及び、スプリントと呼ばれる短い開発クールで区切られた毎日の作業進捗が記録されています。例えば、コードのコミット数が他よりも圧倒的に多いエンジニアがいた場合はそのエンジニアのパフォーマンスをベストプラクティスとして、開発環境(IDE)やオートメーションツール群をチーム全体に標準展開します。パフォーマンスが高いチームには増員を、パフォーマンスが低いチームには改善もしくは減員を意思決定するために必要な材料が揃えられるのです。マイクロサービスで環境の数が指数関数的に増え、複雑化が進むようなプロダクトのデプロイ時は、ロールバックや先祖返り、EOL(個別プログラムの保守終了)、サーバ障害、API障害など様々なヒューマンエラーが発生します。デプロイ時はテスト工程が全てベルトコンベアのように流れていくようInfrastructure as codeで自動化工程を定義しています。AzureDevOps上にはGithubをはじめとするデプロイに必要なソースコードやマイクロサービス群が全て一元的に集まっており、短時間でチーム全員がクライアントのプロダクト仕様を理解することができますし、メンバーが変わってもキャッチアップが容易です。ハイパーグロースに必要な知的生産活動の再現性、人員の再調達容易性を実現できるわけです。」
古平「単なる開発にとどまらず、マーケットシェアの早期No.1達成に向けて、スケールした場合に起こりうるアーキテクチャ上の問題点の指摘や、よりユーザビリティの高い仕様を提案してくれて助かっています」
青木「事業経営において、速さは強さ。今ある課題を最も早く解決する、つまり「ハイパーグロース」にはそれ自体に価値があります。一見強く、力のある巨人ですら、いざ靴紐が解けたときにあなたの靴紐を結ぶことさえできません。毎日の生活で迷いや不便さを感じているのであれば、自分自身で解決する必要があります。Microsoft Azureでは一人一人が感じる不便さや、個人の力ではどうにも解決することのできない問題を、社会全体の問題として昇華させ、皆の力で解決するためのアジェンダ設定を可能とします。世界最速のランナーは1人では走りません。医師や物理学者、栄養士をはじめとしたプロフェッショナルがチームを組んでいます。世界最先端の研究基盤で、世の中のために、働く場所を問わず、世界最速のチームアップをいますぐ始めることができるのがMicrosoft Azureです。」
柳瀬「おかげさまで、当社では今後5年で100億円の年商達成を目標に、ハイパーグロースを継続できるよう、プロダクト設計から製品ローンチ、グロースまでの体制構築が進んでいます。量産化にあたっては、量の変化が質の変化を生みます。来期にはさらなる10倍成長を実現すべく、目下47都道府県への営業拠点展開を実行中で、icucoシリーズのプロダクトにはスケーラビリティ、スピード、品質を同時に実現するためトレードオフの意思決定が求められているところです。販売と開発をまたいだシームレスな意思決定基盤は10倍成長の確かな土台となっています。」
導入企業概要
企業名 | icuco株式会社 |
所在地 | 愛知県豊橋市駅前大通一丁目135番地 |
資本金 | 1億7400万円 |
設立 | 2018年5月15日 |
代表者 | 代表取締役 柳瀬陽一 |
従業員数 | 48名(2023年11月末現在) |
事業内容 | 生体情報予測AIを搭載した医療機器等IoT端末及びSaaSパッケージソフトウェアの設計、開発、製造、販売 |
URL | https://www.icuco.co.jp/ |
Microsoft for Startups特集記事
この事例は日本マイクロソフト社のMicrosoft for Startupsの特集記事としても取り上げられています。
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