General Solicitation(一般勧誘)違反の実例
SEC(米国証券取引委員会)によるGeneral Solicitation(一般勧誘)違反の実例。実際に違反があったケースでは、投資家への返金命令(rescission)、罰金、将来的な募集禁止処分などが科されます。
✅【General Solicitation違反の代表的な事例】
① **Ascenergy LLC事件(2015年)
― 未登録証券のオンライン販売 ―**
- 概要:エネルギー関連ベンチャーAscenergyが、未登録の証券をインターネット上で一般公開募集。
- 手法:
- 自社Webサイトに投資情報を公開
- ソーシャルメディア(LinkedIn、Facebook)で広告
- クラウドファンディング形式で非適格投資家にもアプローチ
- SEC判断:
- 「General Solicitation」に該当し、**Rule 506(b)**の適用不可
- **Rule 506(c)**を主張するも、Accredited Investor確認義務を果たしていなかった
- 処分:
- 投資家への返金(rescission offer)
- 違反企業とCEOに対して証券発行禁止命令
② **G. Thomas White(2002年)
― 一般広告を使った不動産投資の勧誘 ―**
- 概要:ホワイト氏は、新聞広告やセミナーで不特定多数に投資勧誘を実施し、数百万ドルの私募資金を集めた。
- 違反内容:
- Rule 506(b) を利用したと主張するも、事前関係のない投資家に新聞広告で勧誘
- 投資家資格の確認もなし
- SEC対応:
- “明確なGeneral Solicitation”であり、Reg D適用の資格喪失
- 恒久的な募集活動禁止命令
③ **Munchee Inc.(2017年)
― ICOをSNS・ネット広告で広範囲に勧誘 ―**
- 概要:食事レビューアプリ「Munchee」は、自社トークン(MUN)をICOで販売。広告やSNSを通じ、世界中に出資者を集めた。
- SECの見解:
- トークンはHowey Testの条件を満たす「証券」
- SNS広告、YouTube、Facebook広告などは明確なGeneral Solicitation
- Reg D、Reg A+などの例外登録はなし
- 結果:
- SECが強制的に販売を停止
- 発行者はすべての投資家に全額返金を命じられる(rescission)
④ **Veritasium LLC事件(2019年)
― ICOでの一般広告と不透明な募集行為 ―**
- 概要:ブロックチェーンベースのプラットフォームがICOで1500万ドルを未登録で調達
- 問題点:
- 投資家募集にSNS・ブログ・オープンイベントを使用
- SEC登録もReg D等の条件も満たさず
- 処分:
- 緊急差止命令(Emergency Asset Freeze)
- 最終的に880万ドルの罰金と没収命令
🔍【違反の共通点と注意点】
要素 | 詳細 |
---|---|
媒体 | ウェブサイト、SNS、新聞、セミナーなど |
違反理由 | 不特定多数への公開勧誘=Rule 506(b)不適合 |
証券登録の欠如 | SEC登録もReg D等の正規手続きも未実施 |
救済措置 | 投資家への返金命令、資産凍結、証券発行禁止命令など |
✅【対策まとめ】
- Reg D Rule 506(b) を使う場合 → 絶対に一般勧誘NG
- Rule 506(c) を使う場合 → Accredited Investorの厳密な検証が必須
- 勧誘活動の法務レビューを必ず実施
- SNS投稿やオンラインセミナーも一般勧誘扱いになる