東アジア大乗仏教

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東アジア大乗仏教

親鸞も大乗仏教も、日本独自の起源ではなく、中国やインドを中心とする「大陸系仏教思想の流れ」に属しています。ただし、親鸞はその大乗仏教の流れを、日本において独自に深化・変容させた存在であり、「東アジア大乗仏教の地平を拡張した思想家」と評価されています。

🧭 大乗仏教と親鸞の関係:大陸→日本への流れ

1. 大乗仏教(Mahāyāna)の源流

地域期間主要な出来事・思想
インド紀元前後〜5世紀『般若経』『法華経』『浄土三部経』などが成立。ナーガールジュナ(龍樹)が中観派を提唱。
中国4〜7世紀『大乗起信論』、曇鸞・道綽・善導など浄土教思想が発展
朝鮮・日本6世紀以降中国経由で仏教伝来。奈良・平安期は天台・真言が主流

🧘 親鸞と大陸仏教の系譜

🔹 教義的継承

親鸞の思想は、主に以下の人物・経典の影響を受けています:

系譜内容影響
曇鸞(中国・北魏)『浄土論註』:阿弥陀仏の本願を重視親鸞は「曇鸞大師」として深く敬慕。(どんらん)476年 – 542年7月7日
道綽(中国・唐)『安楽集』:末法思想と念仏の必要性親鸞は「道綽(どうしゃく)を依りどころ」と明言 562年-645年4月27日
善導(中国・唐)『観無量寿経疏』:専修念仏の確立親鸞は善導(ぜんどう)を「真実の教主」と位置づける 613年3月14日-681年4月7日
法然(日本)浄土宗の開祖、専修念仏親鸞は法然の弟子。基盤は同じだが深化させた

🔹 経典的系譜

親鸞が最も重視した「浄土三部経」もインド〜中国経由で伝来:

  1. 無量寿経(大経)
  2. 観無量寿経(観経)
  3. 阿弥陀経(小経)

→ これらはすべてインドで成立し、中国で注釈され、日本に伝わった。

🌀 親鸞の独自性:日本における「大乗の再構成」

✅ 他力本願の徹底

  • 自力(修行)を完全否定し、「他力(阿弥陀仏の本願)」にすべてを委ねる思想は、大乗仏教の「衆生救済」思想を極限まで押し進めた形。

✅ 悪人正機

  • 「善人よりも悪人こそが救われる」という逆説は、大乗の「すべての衆生を救う」という原理を再定義したもの。

✅ 非僧非俗

  • 僧でありながら結婚・家庭を持ち、戒律から自由になる姿勢は、出家主義的なインド・中国仏教とは一線を画す。

🧭 結論

親鸞は明確に「大乗仏教の大陸系の流れ」に属するが、
その教義を日本において民衆の実存レベルにまで徹底的に落とし込んだ思想家である。

つまり、

  • 形式としては大乗仏教の正統継承者
  • 内容としては日本仏教の最深部を切り開いた革新者

という「継承と変革」の両面を持つ存在です。