Vicuña｜ビキューナ

ビキューナ（Vicuña）は、南米アンデス山脈の高地に生息するラクダ科の野生動物で、最も希少で高価な天然繊維の一つ「ビキューナウール」の供給源として知られています。以下に詳しく解説します。

🦙 基本情報

項目	内容
学名	Vicugna vicugna
分類	哺乳類・偶蹄目・ラクダ科
生息地	ペルー、ボリビア、アルゼンチン、チリのアンデス高地（標高3,000〜5,000m）
体重	約35〜50kg
毛の長さ	約12〜14μm（非常に細い）
保護状況	ワシントン条約（CITES）により保護対象

特徴	詳細
極細繊維	直径約12μm。カシミヤ（約14〜16μm）よりも細く、柔らかい。
保温性	非常に高く、体温を逃さない（高地での過酷な環境に適応）。
軽量	驚くほど軽くてふんわりした質感。
希少性	一頭から得られる量は年間わずか150〜250g。
加工困難	天然オイル（ラノリン）がなく、繊維が滑りやすく加工に技術を要する。

項目	数値の目安
原毛価格	1kgあたり約50〜100万円
生地価格	150cm1mあたり約40〜70万円（高級ブランド使用時）歩留考慮すれば150cm4mで約2.3kg
スーツ価格	ビキューナ100%で仕立てたスーツは約450〜800万円程度（150cm*4m）
主なブランド	Zegna, Loro Piana, Kiton, Brioni などが使用

ビキューナは絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約（CITES／ワシントン条約）の附属書Ⅱに掲載されています。このため、国際取引や所有にあたっては法的な規制と証明書の管理が必要になります。

項目	内容
所有登録	ビキューナ製品の所有には原産地証明書およびCITES証明書の保持が義務付けられる国が多い（特に輸入時）
証明書の発行元	輸出国（主にペルー・ボリビアなど）の環境省や自然保護当局
日本の場合	経済産業省・環境省の管理下で、輸入時にCITES証明書を提示し、通関後に登録が必要
表示義務	高級ブランドは「CITES証明番号」「原産地」「剪毛年」などをタグや証書で明示している
登録義務	一部国では個人でも譲渡・売買時に当局への所有者変更申告が必要（特にEU圏内やアメリカなど）

理由	解説
絶滅危惧種	1970年代に乱獲され個体数はわずか1万頭未満まで減少
乱獲防止	ビキューナ毛は高額なため密猟・違法取引の温床になりやすい
保護と共存	正規ルートのみを流通させることで生態系保護と現地収入の両立を実現

ビキューナはただ高価なだけでなく、所有者が「保護と倫理のバトン」を受け継ぐ特別な存在とも言えます。

グレード	繊維径（μm）	推定kg単価（円）	出典・備考
Super 80s	約19.75μm	約10,000〜15,000	一般的な市場価格
Super 100s	約18.75μm	約15,000〜20,000	一般的な市場価格
Super 120s	約17.75μm	約20,000〜30,000	一般的な市場価格
Super 150s	約16.25μm	約30,000〜50,000	一般的な市場価格
Super 180s	約14.75μm	約50,000〜70,000	一般的な市場価格
Super 200s	約13.75μm	約70,000〜100,000	一般的な市場価格
Super 250s	約11.25μm	約100,000〜150,000	一般的な市場価格
ビキューナ	約12〜14μm	約500,000〜1,000,000
Record Bale	約10μm台	約1,000,000〜1,500,000	限定的なオークション情報

ビキューナはSuper 250sよりは高く、Record Baleより低いと言えるでしょう。