First Clip｜1頭の羊からのファーストクリップの収量

はい、1頭の羊からファーストクリップ（初毛刈り）で得られるウールの量は、以下のように種類や飼育方法によって大きく異なりますが、特に**超極細メリノ（Record Baleなどの原料）**の場合にはかなり限定的です。

🐑【1頭の羊からのファーストクリップの収量】

🔍 用語の補足

• ファーストクリップ（First Clip）：
  • 生後6〜12か月前後の仔羊（ラム）から初めて刈り取るウール。
  • 最も柔らかく、繊維が細く、均一で、脂肪や汚れが少ない。
  • その代わり、量は非常に少ない。
• グリースウール（greasy wool）：
  • 毛刈り直後の「脂や汚れを含んだ重さ」
  • 洗浄・選別後の「スカワードウール（scoured wool）」はこの約50〜60%

🧵 実際にスーツ1着を作るには何頭必要？

• スーツ1着には 約2kgのスカワードウール（洗浄後の清毛）が必要
  → ファーストクリップからは 3頭分が必要になります。

つまり：

🔹「Zegna Vellus Aureum」や「Record Bale」級の超極細ウールで1着のスーツを作るには、
🔸 特別な1頭からのファーストクリップすべてを贅沢に3頭分使ってようやく1着が実現するレベル。

🧠 結論

• ファーストクリップから得られるウールは約1.5kg（グリースベース）
• 洗浄後のスーツ生地として使える量はさらに減少（歩留約40%）
• よって、1着のスーツ(EUサイズ52、2ピースで2kg)には約3頭分のファーストクリップが必要
• ZegnaのVellus AureumやLoro Pianaの“Record Bale”スーツは、まさに「1頭の奇跡を1着に凝縮した芸術品」

✅ 一頭あたりのウール収量（概算）

🔍 重要なポイント

1. 10μm級ウールを刈れる個体は非常に限られる
   　→ 全体の数万分の一程度とされ、通常のMerinoの中でも選抜された系統
2. ファーストクリップは毛の密度が低く、歩留まりもやや低い
   　→ 成熟羊に比べると刈り量も少なめ
3. 用途は限られるが、繊維の柔らかさ・白度・均質性が高く評価される

📌 結論：

👉 10〜11μmのファーストクリップウールでは、1頭あたり約1.0〜1.5kg程度のウールしか得られない
👉 このうちスカワードベースで換算すると0.6〜0.9kg程度となり、スーツ1着（2kg相当）には最低でも2〜3頭分必要です
実際のオーストラリアの**Record Bale（10.6μm）**は、オークションの段階では通常 「グリースウール（原毛）」 の状態で出品されています。

✅ 修正：Record Baleは グリースウール（Greasy Wool）

• オーストラリアのAWEX（Australian Wool Exchange）やZegna Trophyの公的記録によると、**Record Baleは100kg（greasy）**で取引されます。
• スカワード（洗浄済み）ではなく、未洗浄の原毛です。

🧾 グリース → スカワードへの歩留まり

• 100kg（グリース） × 50%（平均） ≒ 50kgのスカワードウール

✅ １ベールからのスーツ生産数

• 1着に必要なスカワード：2.0kg
• 50kg ÷ 2.0kg = 25着分

✅ 必要羊数（ファーストクリップ）

1着に必要なスカワード：2.0kg
1頭のスカワード量：0.75kg

2.0kg ÷ 0.75kg = 2.66頭/着
25着 × 2.66頭 ≒ **約66頭**

10μm台のスーツ1着に必要な羊の頭数