Counting, Accounting, Computing｜数える力の進化
以下に、「数える力の進化（Counting→Accounting→Computing→Software）」の歴史年表を、年代・地域・国・内容の軸で整理しつつ、後半で「英語が制御言語となった理由」について述べます。
数と制御の歴史：年表（年代 × 地域 × 内容）
| 年代 | 地域・国 | 出来事・革新 | 意義 |
|---|---|---|---|
| 紀元前30,000年頃 | アフリカ中部（コンゴ） | イシャンゴの骨 | 最古の「数の痕跡」。数えることの起源。 |
| 紀元前8,000年頃 | 中東・メソポタミア | 結び目、石によるAbacus原型 | 数の可視化・物理的操作の始まり。 |
| 紀元前3,000年 | メソポタミア（シュメール） | 粘土板による会計記録 | Accountingの起源：交易と税の制度化。 |
| 紀元前2,000年 | バビロニア | 六十進法・天文計算 | 抽象的数理と測定（角度・時間）概念の登場。 |
| 紀元前500年 | ギリシャ | ピタゴラス学派・ユークリッド幾何 | 数学の哲学化。数＝宇宙の原理という思想。 |
| 紀元後500年 | インド | ゼロと位置記法の発明 | 記号的数体系が完成。計算の普遍化を支える。 |
| 9〜12世紀 | イスラム帝国 | フワーリズミーの代数学 | 西洋数学の基礎。アルゴリズムの語源に。 |
| 1202年 | イタリア | フィボナッチ『算盤の書』 | アラビア数字・ゼロが西洋商業に普及。 |
| 1494年 | イタリア（ヴェネツィア） | パチョーリ『簿記大全』 | 近代会計（複式簿記）の始まり。資本主義の土台。 |
| 1600〜1700年 | フランス・ドイツ・イギリス | デカルト、ニュートン、ライプニッツ | 解析幾何・微積分：自然の数理モデル化。 |
| 1801年 | イギリス | チャールズ・バベッジ「差分機」 | 機械的Computingの萌芽。 |
| 1837年 | イギリス | エイダ・ラブレスの「最初のアルゴリズム」 | 世界初のプログラマー。数＝制御言語への転換。 |
| 1936年 | イギリス | チューリング「チューリングマシン」 | 普遍計算モデル。現代計算機の理論基礎。 |
| 1946年 | アメリカ | ENIAC完成 | 電子式コンピュータ。数による計算の自動化。 |
| 1959年 | アメリカ | COBOL誕生（ビジネス用言語） | 会計・財務処理を目的とした最初の汎用言語。 |
| 1970年代 | アメリカ | UNIX、C言語、表計算ソフト（VisiCalc） | 数・言語・制御の三位一体構造の出現。 |
| 1990年代 | アメリカ | ERP、会計ソフト（SAPなど）普及 | ビジネスの数値的統制・可視化が加速。 |
| 2011年 | アメリカ（シリコンバレー） | 「Software eats the world」（Andreessen） | ソフトウェアが会計・物流・製造・教育を再定義。数による全領域支配へ。 |
英語が制御言語（Control Language）となった理由
1. AccountingとComputingの発祥地に共通する言語
- 近代会計（複式簿記）はイタリア発祥だが、現代会計（GAAP, IFRS, SECルール）は英語圏（特に米英）で制度化。
- コンピューティング（Turing, Babbage, ENIAC, UNIX, C, Python…）の発展もほぼ全て英語ベースで進行。
2. 英語の言語構造と記号化適性
- 英語は文法が単純で、**単語の再構成能力（例：input/output, download/upload）**が高く、命令型の文法に適している。
- これは会計用語やプログラム構文（if-then, return, loop）の命令的構造と高い親和性。
3. プログラミング言語の95%以上が英語ベース
- C、Java、Python、SQL、HTML、JavaScriptなど、すべて英語の命令構文。
- 「debit」「credit」「asset」「liability」など会計語彙も英語圏が主導して国際基準化。
4. 金融市場・国際基準の英語支配
- 会計（GAAP, IFRS）、金融（Wall Street, LIBOR, SWIFT）、評価（ESG, ROE）など、経済・統治に関わるほぼすべての指標が英語で表現・運用される。
- 国際契約・報告・監査などでも英語が唯一の共通言語として機能。
総括：英語は「制御の言語（Language of Control）」である
- Counting = 数詞（one, two, many）
- Accounting = 会計・財務指標（credit, asset, liability）
- Computing = 命令・制御構文（if, return, while, function）
- これら全てが英語ベースで展開され、現代社会の中核を構成している。