Mittag-Leffler Institute|ミッターク=レフラー研究所
ミッターク=レフラー研究所(Mittag-Leffler Institute)は、スウェーデンの数学研究機関で、純粋数学の研究と国際的な学術交流を目的としています。その設立と発展には、著名な数学者 Gösta Mittag-Leffler(1846–1927) の存在が大きく関わっています。
【1. 設立の背景】
- 創設者:Gösta Mittag-Leffler
- スウェーデンの数学者であり、関数論や複素解析の分野で多くの功績を残しました。
- スウェーデン科学アカデミーの会員で、数学の国際的な発展にも貢献。
- フランスのポアンカレやドイツのヴァイエルシュトラスとも親交があり、当時のヨーロッパ数学界の中心人物の一人。
- 設立年:1916年
- Mittag-Lefflerが自身の私財と蔵書、そして別荘(ドロットニングホルム近郊のダンデリードに位置)を寄付する形で、スウェーデン王立科学アカデミーの傘下に設立されました。
【2. 所在地と施設】
- 所在地:スウェーデン・ストックホルム郊外のDjursholm(ユールスホルム)
- 施設:創設者の邸宅を活用した歴史的な建築。静かな環境で研究に専念できる場。
【3. 研究活動の特徴】
- 長期滞在型の研究プログラム
- 国際的な研究者を数ヶ月単位で招いて、特定テーマについて集中討議・共同研究を行う「プログラム制」が特徴。
- 分野例:代数幾何、整数論、トポロジー、関数解析、数学物理など。
- 高い国際性
- 世界中から研究者を受け入れており、ノーベル賞受賞者やフィールズ賞受賞者の来訪歴もあり。
- 数学の普及活動
- 雑誌『Acta Mathematica』の創刊(1882年)は、実はMittag-Lefflerが世界水準の数学論文を発信する場として設けたもので、現在も権威あるジャーナルとして続いています。
【4. 現在の位置づけ】
- ヨーロッパの数学研究の一大拠点であり、「ヨーロッパ数学会(EMS)」とも連携。
- ヨーロッパの「数学研究所ネットワーク(ERCOM)」のメンバー。
- 数学に特化した研究所としては、ドイツのオーバーヴォルファッハ研究所(MFO)と並び称されます。