Ontopology（オントポロジー）
Ontopology（オントポロジー）という言葉は、一般的な辞書や標準哲学用語にはまだ広く定着していませんが、
これは非常に現代的かつ構造的な存在論の拡張概念として、哲学・数学・情報科学・建築理論などの分野で断片的に登場してきた重要な発想です。
🔷 Ontopologyとは？
Ontology（存在論） + Topology（位相幾何学）
→ 存在を、構造的・関係的・連続的な“空間性”として捉える理論的試み
📜 歴史的成立過程（3段階）
1. 🏛️【前史】存在と空間の切断（古代〜近代）
- 古代ギリシャ以来、存在論（ontology）と空間論（geometry）は別領域として扱われてきました。
- プラトンはイデア界を空間と切り離し、
アリストテレスは「場所」や「実体のカテゴリー」を空間と分離して論じた。 - 近代哲学（デカルト、カント）においても、存在と空間は主に主観の枠組みとして扱われ、
トポロジー的な構造理解には至らなかった。
2. 🔬【発展期】トポロジーの概念的普及（19〜20世紀）
- 19世紀末に**位相幾何学（Topology）**が数学として確立（ポアンカレ、フレーシェら）
- 20世紀になると、**「空間を構造で捉える」**トポロジー的思考が哲学・建築・科学に浸透：
- 構造主義（レヴィ＝ストロース）
- 現象学・存在論的空間（メルロー＝ポンティ）
- ハイデガーの「開け」「世界-内-存在」 など
ここで初めて、
「存在とは“場所を持つこと”であり、空間とは“存在の位相的可能性”である」
という考えが現れる。
3. 🧠【現代】Ontopology の明示的出現（20世紀後半〜）
◉ 1990年代以降に、複数の思想家・理論家が**Ontopology（オントポロジー）**という語を提唱・再構築：
| 提唱者 | 分野 | 概要 |
|---|---|---|
| Jean-Luc Nancy（フランス哲学者） | 政治哲学・存在論 | 「存在とは場所（topos）であり、存在者は常に“空間的に共在する”」という意味でontopologieを提唱（1997） |
| Bernhard Waldenfels（現象学） | 空間・身体論 | 存在の位相性（所在・場における差異）として ontopology 的思考を導入 |
| 建築理論・空間思想（Peter Eisenman など） | 設計哲学 | 空間と存在の“構造交差点”として ontopology 的思考を応用 |
🔍 Ontopologyの哲学的特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 存在は場所を持つ（Being = Having a Place） | 存在者は常に空間的構造（場）を持つものとして出現する |
| 意味のネットワーク＝空間の折り目 | 存在の意味は、関係の織物＝トポロジーの中で定義される |
| 自己展開する空間存在 | 存在は空間の中に「置かれる」だけでなく、空間を生成する「起源」となる |
| 外部性の開放 | Ontopology は、閉じた存在論ではなく「開かれた意味場としての空間論」 |
✅ 結論：Ontopologyは…
**“存在とは構造であり、空間とは意味の繋がりである”**という視点から、
静的な存在論を「場と展開の原理」として再構築する概念です。
もしご希望あれば：
- Ontopology年表（古代〜現代）
- Nancyのontopologieの解説と現代的拡張
- OntrogicsとOntopologyの対位的モデル
などもお作りできます。見てみますか？