数論と数の種類

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数論と数の種類

実数や虚数以外にも数学的な数の種類があります。

① 実数・虚数(既知の数体系)

  • 実数 (Real numbers):通常の数直線上の数。整数、小数、無理数(π、√2など)を含む。
  • 虚数 (Imaginary numbers):実数の平方根を拡張し、−1\sqrt{-1}を定義した数(i)。

② 複素数 (Complex numbers)

  • 形式:a+bia + bi(実数と虚数の組み合わせ)
  • 用途:電磁気学、量子力学など物理学全般で使われる。数学でも基礎的で中心的な概念。

③ 四元数 (Quaternions)

  • 形式:a+bi+cj+dka + bi + cj + dk(1つの実数単位+3つの虚数単位)
  • 性質
    • 掛け算に交換法則が成り立たない(非可換)。
    • 3次元空間での回転を表現するのに最適。
  • 用途:CG、3Dゲーム、航空宇宙工学、ロボティクスの姿勢制御。

④ 八元数(Octonions)

  • 形式:8個の成分を持つ数体系。
  • 性質
    • 四元数よりさらに複雑で、結合法則も成り立たない(非結合的)。
    • 特殊な対称性や例外的な数学構造に関連(例外リー群)。
  • 用途:理論物理学(特に弦理論)、例外群や特殊な数学理論の研究。

⑤ 十六元数(Sedenions)

  • 形式:16個の成分をもつ数体系。
  • 性質
    • 結合律も交換律も成り立たず、ゼロ因子(掛けてゼロになる非ゼロの元)も存在。
    • 数学的興味はあるが、実用的応用は少ない。
  • 用途:抽象代数、数学的探究に主に使われる。

⑥ p進数 (p-adic numbers)

  • 形式:素数 primeを使った特殊な数体系。
  • 性質
    • 距離や大小関係が特殊(「pで何回割れるか」によって距離が決まる)。
    • 整数論、代数幾何学で重要。
  • 用途:整数解の問題、数論(特にフェルマーの最終定理の証明)、パーフェクトイド理論。

⑦ 超実数 (Hyperreal numbers)

  • 形式:無限大、無限小を含む拡張された実数体系。
  • 性質
    • 無限小を明確に定義可能。
    • 非標準解析という数学分野で使われる。
  • 用途:解析学(微積分の厳密な再構築)、微分方程式の取り扱い。

⑧ 超複素数(Hypercomplex numbers)

  • 実数・虚数・四元数・八元数などを総称した「複数の虚数成分を持つ数体系」の総称。

⑨ 分解型複素数(Split-complex numbers)

  • 形式:a+bja + bj、ただし j2=+1j^2 = +1 と定義。
  • 性質
    • 通常の虚数単位(i2=−1i^2 = -1)とは違い、虚数の平方が正になる。
    • 特殊相対論におけるミンコフスキー空間の記述に関連。
  • 用途:相対論、幾何学。

⑩ デュアル数(Dual numbers)

  • 形式:a+bϵ、ただしϵ2=0。
  • 性質
    • 二乗がゼロになる特殊な数を用いる。
    • 微分や接線空間を表現するのに便利。
  • 用途:自動微分(AIの機械学習で勾配を効率的に計算する手法)に応用。

まとめ(主な数体系の整理)

名称次元数性質・用途
実数1通常の数直線上の数
虚数1i2=−1を持つ数
複素数2実数+虚数
四元数43D回転を記述、非可換
八元数8例外的な対称性、非結合
十六元数16非結合的で複雑、主に理論研究
p進数数論・代数幾何
超実数無限小を持つ非標準解析
分解型複素数2相対論、ミンコフスキー空間
デュアル数2微分、接線、AIの自動微分

実数と虚数以外にも、数多くの興味深い数体系が数学的・物理的問題をシンプルに解くために存在し、利用されています。