Loop Quantum Gravity|ループ量子重力
定理(理論):ループ量子重力(Loop Quantum Gravity)
歴史的重要性:
ループ量子重力(LQG)は、量子力学と一般相対性理論を統一するための量子重力理論の一つである。
1980年代以降、リー・スモーリン(Lee Smolin)、カルロ・ロヴェッリ(Carlo Rovelli)、アバイ・アシュテカー(Abhay Ashtekar)らが中心となり発展させてきた。
この理論の最も重要な帰結は、空間と時間が連続的ではなく、最小の長さ(プランクスケール)を持った「離散的構造(discrete structure)」であることを示した点にある。
- LQGは、超弦理論と並ぶ量子重力の有力な候補理論であり、現代物理学の最前線で研究が進められている。
発表者(主要な提唱者):
- アバイ・アシュテカー(Abhay Ashtekar)
- リー・スモーリン(Lee Smolin)
- カルロ・ロヴェッリ(Carlo Rovelli)
発表年:
- 基礎理論の提唱は1986年以降(アシュテカー変数による定式化)
発表場所(主な所属機関):
- ペンシルベニア州立大学(アシュテカー)
- ペリメーター理論物理学研究所(スモーリン)
- エクス=マルセイユ大学、フランス(ロヴェッリ)
代表的な公式(重要な公式):
ループ量子重力の基本的な帰結の一つは、空間の量子化である。
その結果、「面積」や「体積」は連続的ではなく離散的な量子数を持つ。
空間の面積の量子化(Area Quantization)は次式で表される:
\[A = 8 \pi \gamma \ell_P^2 \sqrt{j(j+1)}\]- A:量子化された面積
- γ\gamma:Immirziパラメータ(理論から生じる定数)
- ℓP=√hG/c3:プランク長
- j:スピン量子数(j=0,1/2,1,3/2,…)
この式により、面積が最小単位(プランクスケール)をもって離散化されていることが示される。
公式の物理的な意味と重要性:
- 空間や時間が『連続した実体ではない』という極めて新しいアイデアを提示している。
- これは、古典的な一般相対性理論では連続的で滑らかな時空だったものが、量子論によって根本的に離散的な構造になることを示す。
- ブラックホールのエントロピー計算などにも適用され、一定の成功を収めている。
観測的困難性:
- ループ量子重力が予言する空間の離散構造はプランクスケール(約 10-35メートル)という極小スケールで現れるため、現在の技術では直接的な実験検証や観測が極めて困難。
- 間接的な検証を目指した研究は進行中だが、未だ確かな実験的証拠はない。
親交の深かった科学者(関連研究者):
- ロジャー・ペンローズ(Roger Penrose, 時空構造理論、ツイスター理論の創始者)
- ジョン・バエズ(John Baez, スピンネットワーク理論の発展)
- テッド・ジェイコブソン(Ted Jacobson, 時空の熱力学的起源)
- ホルヘ・プリン(Jorge Pullin, ブラックホールの量子論研究)
- アラン・コネス(Alain Connes, 非可換幾何学)
✅【まとめ(結論)】
- ループ量子重力(LQG)は量子重力理論の主要な候補の一つ。
- 最も重要な予言は『空間・時間の離散構造』。
- 基本的な式として『面積の量子化』を示す公式がある。
- 実験的な検証は非常に難しいが、現代物理学の重要な研究テーマとして多くの研究者が取り組んでいる。