Parity Non-conservation|パリティ非保存の法則

定理:パリティ非保存の法則(Parity Non-conservation)
歴史的重要性:
李政道(Tsung-Dao Lee)と楊振寧(Yang Chen-Ning)は、素粒子物理学において、それまで当然と考えられていた左右対称性(パリティ対称性)が破れていることを理論的に提唱した。この発見は、物理法則の対称性に対する考え方を根本的に覆すもので、20世紀の物理学における最も衝撃的な成果の一つである。理論発表後まもなく呉健雄(C.S. Wu)の実験によって証明され、素粒子物理学の新たな領域を切り拓いた。
発表者(1957年ノーベル物理学賞受賞者):
- 李政道(Tsung-Dao Lee)
- 楊振寧(Chen Ning Yang)
生年月日:
- 李政道:1926年11月24日
- 楊振寧:1922年10月1日
李政道(Tsung-Dao Lee)と楊振寧(Chen Ning Yang)がノーベル物理学賞を受賞したのは1957年で、受賞決定(1957年10月)の時点での年齢は以下のとおりです。
受賞者 | 生年月日 | 受賞年(1957年10月) | 受賞時の年齢 |
---|---|---|---|
李政道 | 1926年11月24日 | 1957年10月 | 30歳(31歳の誕生日直前) |
楊振寧 | 1922年10月1日 | 1957年10月 | 35歳(ちょうど35歳) |
結論:
- 李政道は30歳で受賞(ノーベル物理学賞の歴史上、2番目に若い記録)
- 楊振寧は35歳で受賞
ノーベル物理学賞としては、李政道の30歳という受賞年齢は非常に若く、歴史的にも極めて珍しい例となっています。
出生地:
- 李政道:中国・上海
- 楊振寧:中国・安徽省合肥
主な業績(論文):
『素粒子間の弱い相互作用におけるパリティ非保存の問題』
(Question of Parity Conservation in Weak Interactions)
発表年:
1956年6月(理論提唱)
1957年1月(呉健雄による実験的証明)
発表場所(主な所属機関):
アメリカ合衆国・コロンビア大学
受賞:
1957年ノーベル物理学賞
「素粒子の弱い相互作用においてパリティ非保存の理論的研究」
代表的な公式(パリティ演算子の性質):
P∣ψ⟩=±∣ψ⟩
公式の説明:
- P:パリティ演算子(空間反転演算子)
- ∣ψ⟩|\psi\rangle:量子状態を表す波動関数
- 量子状態がパリティ対称性を満たす場合、空間反転後の状態は±1倍となり、本質的に同じ物理的性質を示すと考えられていた。
- 李政道と楊振寧は、この性質が弱い相互作用では必ずしも成立しないことを示し、パリティ対称性が破れる可能性を理論的に提示した。
- その後、実際に呉健雄らによって、β崩壊の実験を通じてパリティ対称性の破れが証明された。
親交の深かった科学者(関連研究者):
- 呉健雄(Chien-Shiung Wu、実験による証明)
- エンリコ・フェルミ(Enrico Fermi、理論物理学の師)
- ロバート・オッペンハイマー(Robert Oppenheimer、指導者・協力者)
- リチャード・P・ファインマン(Richard Feynman、同時代の素粒子物理学者)
- ジュリアン・シュウィンガー(Julian Schwinger、量子電磁力学の研究で交流)