ERISA(Employee Retirement Income Security Act)
ERISA(Employee Retirement Income Security Act)は、アメリカのベンチャーキャピタル(VC)およびプライベート・エクイティ(PE)業界の成長に大きな影響を与えました。現在では米国株式市場の時価総額の50%以上を過去にVC/PEの支援を受けた企業が占めています。VCは小さな資本で大きな社会的インパクトを起こすクリティカルパスといえます。
✅ ERISAとベンチャーキャピタル業界の成長
1. ERISAの制定(1974年)
- 元々は従業員の退職金制度(年金)の透明性と健全性を保護する目的で制定。
- しかし、**”Prudent Man Rule”(慎重な運用者ルール)**が厳格に解釈されたため、年金基金はリスクの高い投資(VCやPEなど)を避ける傾向にありました。
2. 1979年のERISAガイドライン改訂(”Venture Capital Relief”)
- 労働省(DOL)は1979年にガイドラインを改訂し、年金基金がベンチャーキャピタルファンドなどに投資することが「慎重」な運用と見なされうると明確化。
- これにより、全米の年金基金がVCやPEに資金を投資する道が大きく開かれました。
➡️ この規制緩和が、米国VC業界に大きな資本流入をもたらし、1980年代以降の急成長を牽引しました。
✅ 米国株式市場におけるVC/PE支援企業の存在感
以下の点から、「米国上場企業の時価総額の50%以上がVC/PE出身企業である」という主張は、かなり現実味のあるデータに基づいています:
1. VC/PEの支援を受けた企業の代表例(上場企業)
- Apple, Google (Alphabet), Amazon, Meta (Facebook), Teslaなどは、すべて創業期にVCの支援を受けています。
- これらの企業だけでS&P500の時価総額の**20~25%**以上を占めています(いわゆる「Magnificent Seven」など)。
2. PitchbookやNVCAの報告
- 近年のデータでは、IPOされた企業の7~8割以上が何らかの形でVCやPEの支援を受けている。
- 2020年時点の報告では、米国株式市場の約60%近くの時価総額が「VC/PE-backed」企業であるとする試算もあります。
✅ 補足:PEとVCの違い
- VC(ベンチャーキャピタル):創業初期~成長期のスタートアップに出資。
- PE(プライベート・エクイティ):成熟企業へのバイアウト投資や再建を目的とした投資。
➡️ PEもERISA緩和の恩恵を受け、レバレッジド・バイアウト(LBO)などで急成長しました。
✅ 結論
はい、ERISAの規制緩和(特に1979年の解釈変更)がアメリカのVC・PE業界に莫大な資本を呼び込み、結果としてVC/PE支援を受けた企業が米国の株式市場において支配的地位を占めるようになりました。
この変化がなければ、AppleもGoogleもAmazonも、今のような成長はなかったかもしれません。