Bragg’s Law|ブラッグの法則
定理:ブラッグの法則(Bragg’s Law)
歴史的重要性:
ローレンス・ブラッグは父ウィリアム・ヘンリー・ブラッグ(William Henry Bragg)と共に、X線が結晶構造で回折される際の物理法則「ブラッグの法則」を導出した。これにより、結晶の原子レベルでの構造を実験的に解析する手法(X線回折法)が確立され、結晶学、物理学、化学、生物学などの発展に革命的な影響を与えた。後のDNA構造決定やタンパク質構造解析などにも応用され、20世紀の科学史における最も重要な発見の一つとなった。
発表者(1915年ノーベル物理学賞受賞者):
- ローレンス・ブラッグ(William Lawrence Bragg)
- ウィリアム・ヘンリー・ブラッグ(William Henry Bragg、父親)
生年月日:
- ローレンス・ブラッグ:1890年3月31日
- ウィリアム・ヘンリー・ブラッグ:1862年7月2日
出生地:
- ローレンス・ブラッグ:オーストラリア・アデレード
- ウィリアム・ヘンリー・ブラッグ:イギリス・カンバーランド州ウィグトン
主な論文(業績):
『X線スペクトルの回折現象の解析』(The Diffraction of Short Electromagnetic Waves by a Crystal, 1913年)
発表年:
1913年(ブラッグの法則発表)
発表場所(主な所属機関):
イギリス・ケンブリッジ大学
受賞:
1915年ノーベル物理学賞
「結晶構造のX線解析への貢献に対して」(親子で共同受賞)
※ローレンス・ブラッグは受賞時25歳で、史上最年少のノーベル物理学賞受賞者である。
代表的な公式(ブラッグの法則):
nλ=2dsinθ
公式の説明:
- n:回折次数(整数、1, 2, 3, …)
- λ\lambda:X線の波長
- d:結晶面間隔(原子層間の距離)
- θ\theta:X線の入射角度(回折角度)
- この公式は、特定の条件(角度)で結晶面から反射されたX線が強め合い、回折パターンが生じる現象を記述している。
- ブラッグの法則は、X線回折によって結晶の構造を原子レベルで決定する方法を提供した。
親交の深かった科学者(関連研究者):
- ヘンリー・モーズリー(Henry Moseley、X線分光学の先駆者)
- マックス・フォン・ラウエ(Max von Laue、X線回折現象を初めて発見)
- ジェームズ・チャドウィック(James Chadwick、中性子の発見者)
- ジョン・コッククロフト(John Cockcroft、原子核物理学者)
- フランシス・クリック(Francis Crick、後にDNA構造解析でブラッグの法則を応用)
ブラッグ親子によるブラッグの法則は、現代科学における結晶構造解析の基盤となる原理であり、物理学、化学、生物学に広く応用されている。