Logistic Map|カオス理論のロジスティック写像
定理:ロジスティック写像(Logistic Map)
歴史的重要性:
カオス理論を代表する典型的な非線形写像の一つ。非常にシンプルな数式にもかかわらず、複雑かつ予測困難な振る舞い(カオス的挙動)を示すことから、自然界における複雑性・混沌性の根本的メカニズムを理解するためのモデルとして広く知られている。「バタフライ効果」などの現代科学における重要な概念を生み出す契機となり、生物学、経済学、物理学など幅広い分野に影響を与えた。
発表者:
ロバート・メイ(Robert May)
(ロジスティック方程式そのものは1838年にピエール=フランソワ・フェルフルストが提案したが、離散写像としてカオス的挙動を詳細に研究し有名にしたのはロバート・メイである。)
生年月日:
1936年1月8日
出生地:
オーストラリア・シドニー(Sydney)
没年月日:
2020年4月28日(イギリス・オックスフォード)
主な論文:
『単純な数式が示す複雑な動態』(Simple mathematical models with very complicated dynamics)
発表年:
1976年(Nature誌に発表)
発表場所:
イギリス・オックスフォード
(当時、ロバート・メイはオックスフォード大学で研究していた。)
受賞:
ロバート・メイはカオス理論や生態学への貢献に対し、1996年にクラフォード賞(生態学分野でノーベル賞に相当する権威ある賞)を受賞している。
公式:
xn+1=rxn(1−xn)
公式の説明:
- xn:離散時間ステップ n における系の状態(例えば、個体群の規模や資源量などを表す)
- r:成長率を表すパラメータ(制御パラメータ)
- この単純な二次方程式によって、パラメータ rrr を変化させるだけで、安定点、周期的挙動、さらには非周期的で複雑なカオス状態へと移行する。特に、パラメータ r≈3.56995…を超えるとカオス的挙動を示し、初期条件に対する鋭敏な依存性(初期値鋭敏性)を持つ。この性質が「バタフライ効果」と呼ばれ、微小な違いが長期的には巨大な差異を生み出すカオス理論の特徴を端的に表している。
親交の深かった科学者:
- エドワード・ローレンツ(Edward Lorenz、カオス理論の創始者)
- ミッチェル・ファイゲンバウム(Mitchell Feigenbaum、カオスの普遍定数を発見)
- ジェームズ・ヨーク(James Yorke、「カオス」という用語を科学に導入)
- ブノワ・マンデルブロ(Benoît Mandelbrot、フラクタル理論の提唱者)
- スティーブン・スマーレ(Stephen Smale、力学系理論を大きく発展させた数学者)