Euler’s Formula|レオンハルト・オイラー
定理:オイラーの公式(Euler’s Formula)
歴史的重要性:
複素数、三角関数、指数関数を深く結びつける数学史上最も美しいと評される公式の一つ。この公式により複素解析、微分方程式、フーリエ解析、量子力学、電気工学など、多岐にわたる分野の発展が促された。オイラーの公式から導かれる「オイラーの等式」は、数学的な美と単純さの象徴として特に有名である。
発表者:
レオンハルト・オイラー(Leonhard Euler)
生年月日:
1707年4月15日
出生地:
スイス・バーゼル(Basel)
没年月日:
1783年9月18日(ロシア・サンクトペテルブルク)
主な論文:
『無限解析入門』(Introductio in analysin infinitorum)
発表年:
1748年
発表場所:
プロイセン王国・ベルリン
(当時オイラーはプロイセン科学アカデミーに所属し、ベルリンで研究していた。)
受賞:
オイラーはノーベル賞以前に活躍したため同賞の受賞歴はないが、数学史上最多級の業績を残し、歴史上最も偉大な数学者の一人と評価されている。
公式:
eiθ=cosθ+i sinθ
公式の説明:
- e:自然対数の底(ネイピア数、約 2.71828)
- i:虚数単位(i2=−1)
- θ\theta:任意の実数(角度、ラジアンで表される)
- この公式は、複素指数関数が三角関数(cos, sin)と直接的に結びついていることを示している。オイラーの公式を通じて、指数関数の複素数への拡張が自然に導かれ、さらにオイラーの等式 eiπ+1=0 のように、数学の重要な定数 e,i,πe, i, \pi をひとつに結びつける優美な結果が得られる。
親交の深かった科学者:
- ダニエル・ベルヌーイ(Daniel Bernoulli、流体力学、確率論での共同研究者)
- ヨハン・ベルヌーイ(Johann Bernoulli、オイラーの数学的師匠)
- ジャン・ル・ロン・ダランベール(Jean le Rond d’Alembert、解析学で交流)
- クリスティアン・ゴルトバッハ(Christian Goldbach、数論分野での親しい友人)
- ジョゼフ=ルイ・ラグランジュ(Joseph-Louis Lagrange、解析学の研究で交流)
オイラーの公式は、複素平面上で視覚的に表現できます。
オイラーの公式の視覚的説明:
複素数を表すときは、複素平面(ガウス平面)を使います。
- 横軸:実数部分 (cosθ)
- 縦軸:虚数部分 (sinθ)
このとき、オイラーの公式は、
半径 1の円上を、原点から角度 θ\theta だけ回転した点の位置を示します。
つまり、複素平面上の単位円の周上を動く点として解釈できます。
視覚的イメージ:
虚軸 (Imaginary Axis)
│
│ ● e^(iθ) = cosθ + i sinθ
│ ╱│
│ 1 ╱ │ sinθ
│ ╱θ │
────────────┼──────────── 実軸 (Real Axis)
│ cosθ
│
- θ\theta は、実軸正方向からの角度(ラジアン)
- 実軸方向が cosθ、虚軸方向が i sinθ
特殊なケース:
- θ=0:ei0 = 1(実軸上、右端の点)
- θ=π/2:eiπ/2 = i(虚軸上、上端の点)
- θ=π:eiπ=−1(実軸上、左端の点)
このように、オイラーの公式は複素数の指数関数を視覚的に捉えるための最も美しい表現とされています。