Boltzmann’s Entropy Formula|ボルツマンのエントロピー式(統計力学)
定理:ボルツマンのエントロピー式(Boltzmann’s Entropy Formula)
歴史的重要性:
熱力学と統計力学をつなぐ最も重要な公式の一つ。エントロピーという巨視的な量を、微視的な状態数(確率)と結びつけることで、熱力学第二法則の統計的基礎を確立した。この式により、古典的な熱力学におけるエントロピー概念が原子・分子の微視的挙動に基づいて説明され、現代物理学・化学の発展に多大な影響を与えた。
発表者:
ルートヴィッヒ・ボルツマン(Ludwig Boltzmann)
生年月日:
1844年2月20日
出生地:
オーストリア帝国(現オーストリア)・ウィーン(Vienna)
没年月日:
1906年9月5日(イタリア・ドゥイーノ)
主な論文:
『熱平衡における気体分子の速度分布についてのさらなる研究』
(Further Studies on the Thermal Equilibrium of Gas Molecules)
発表年:
1877年(初出の論文発表)
発表場所:
オーストリア・グラーツ
(ボルツマンは当時、グラーツ大学の教授として理論を発表した。)
受賞:
ボルツマン自身は存命中にノーベル賞を受賞していないが、彼の功績は後世の物理学・化学の基礎を築き、統計力学の確立者として高く評価されている。
公式:
S=kBlnW
公式の説明:
- S:エントロピー(巨視的な乱雑さを示す指標)
- kB:ボルツマン定数(Boltzmann Constant, 1.380649×10-23 J/K)
- W:微視的状態の数(系がとり得るミクロな状態の総数)
- この式は、系のエントロピーが、その系が実現可能なミクロ状態の数(可能な配列や配置の数)の対数に比例することを示す。状態の数が増えるほどエントロピーは増加し、自然界のプロセスがエントロピー増大の方向に向かう理由を明確に統計的根拠に基づいて説明する。
親交の深かった科学者:
- ヨーゼフ・シュテファン(Josef Stefan)
- マックスウェル(James Clerk Maxwell)
- アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein、直接的ではないがボルツマンの理論に強い影響を受けた)
- アンリ・ポアンカレ(Henri Poincaré、議論を交わした関係)
- エルンスト・マッハ(Ernst Mach、学術的には対立した関係だが影響を受け合った)