LISA|Laser Interferometer Space Antenna
**LISA(レーザー干渉計宇宙アンテナ)は、宇宙空間に配置される初の重力波望遠鏡であり、ESA(欧州宇宙機関)が中心となってNASAと共同開発を進めています。2035年頃の打ち上げを目指し、既存の地上型重力波望遠鏡(LIGOやVIRGO、KAGRA)では観測できない超低周波(0.1mHz~1Hz)**の重力波を検出することを目的としています。
🔭 LISAの概要
- 構成:3機の探査機が正三角形を形成
- アーム長:250万km(地上のLIGOの約60万倍)
- 観測対象:地上望遠鏡では観測できない低周波の重力波
- 打ち上げ予定:2035年
- 運用機関:ESA(欧州宇宙機関)+NASA
🛰 LISAの技術的特徴
1️⃣ 宇宙空間に配置
LISAは地球の約5000万km後方の軌道を周回する3機の探査機によって構成され、それぞれの探査機は250万km離れた正三角形を形成。レーザー干渉計を利用して、宇宙空間での極めて微小な重力波の変動を測定します。
2️⃣ 超低周波の重力波を観測
- 地上の干渉計(LIGOなど)は数十Hz〜kHzの重力波しか観測できない。
- LISAは0.1mHz~1Hzの超低周波数帯域をカバー。
- ブラックホール同士のゆっくりとした合体過程や、初期宇宙からの重力波を捉えることが可能。
3️⃣ 250万kmの長大なアーム
- LIGOのアーム長(4km)に対し、LISAのアームは250万km。
- この長大なアームにより、超低周波の重力波を検出可能。
4️⃣ 真空環境での観測
- 地上の重力波望遠鏡は地震や大気の影響を受けやすいが、LISAは宇宙空間の真空で観測するため、極めて高感度な測定が可能。
🌌 期待される科学的成果
1️⃣ 超大質量ブラックホール(SMBH)の合体観測
- 宇宙初期に形成された銀河中心のブラックホール(質量が太陽の100万~数十億倍)の合体を捉えられる可能性がある。
2️⃣ ダークマター・ダークエネルギーの解明
- LISAが捉える重力波を使い、宇宙膨張の歴史やダークエネルギーの影響を調べることができる。
3️⃣ 初期宇宙の「原始重力波」の探索
- インフレーション(ビッグバン直後の急膨張)の痕跡を残す原始重力波を観測できる可能性。
4️⃣ 白色矮星の連星系の観測
- 太陽の進化後の姿である白色矮星の連星が発する重力波を、LISAは数百万ペア単位で捉えられる。
📊 LISAと地上重力波望遠鏡の比較
望遠鏡 | アーム長 | 観測範囲 | 主な観測対象 |
---|---|---|---|
LIGO/VIRGO/KAGRA | 3〜4km | 10Hz 〜 10kHz | ブラックホール・中性子星合体 |
Einstein Telescope | 10km | 1Hz 〜 10kHz | より遠方・小質量の天体 |
LISA | 250万km | 0.1mHz 〜 1Hz | 超大質量ブラックホール・初期宇宙 |
🚀 まとめ
LISAは、これまで地上望遠鏡では捉えられなかった「低周波重力波」を観測することで、ブラックホールの進化、宇宙の始まり、ダークマターの謎などの解明に大きく貢献することが期待されています。