99.9999% 崩壊するまでに必要な半減期の回数:約 19.93 回

放射性元素の半減期で「半分に減る」とは、
- 放射性原子の数が半分になる
- 放射性元素が崩壊して別の元素に変わる
- 放射線の放出量(放射能)が半分になる
の3つの意味を持ちます。
時間が経過するにつれ、放射性元素は次第に別の元素へと変わり、放射線の影響も弱まる というのが、半減期の本質的な意味です。
1. 放射性崩壊の数学的モデル
放射性崩壊は 指数関数的減少 に従い、放射性元素の質量(または原子数)は時間 ttt に対して次の式で表されます: \[N(t)=N0×(12)t/T1/2N(t) = N_0 \times \left( \frac{1}{2} \right)^{t/T_{1/2}}N(t)=N0×(21)t/T1/2\]
ここで:
- N(t) :時間 ttt 経過後の放射性物質の量
- N0 :初期量(例えば 1g)
- T1/2 :半減期
2. 物質が「完全に消える」時間はあるのか?
- この式を見ると、厳密に 0 になることはない ため、理論上は無限の時間が必要。
- しかし、物理的に 「ほぼ消えた」とみなせる閾値 を設定すれば、それまでの時間を計算できる。
例えば:
- 99.9% 崩壊(残存量 0.1%)
- 99.9999% 崩壊(残存量 0.0001%)
- 1 原子以下になる時間
を考える。
3. 何倍の半減期で「ほぼゼロ」になるか?
(1) 99.9% 崩壊(0.1% 残存)
つまり 約 10 倍の半減期 で 99.9% 消滅する。
(2) 99.9999% 崩壊(0.0001% 残存)
つまり 約 20 倍の半減期 で 99.9999% 消滅する。
結果
- テルルが 99.9999% 崩壊するまでに必要な半減期の回数: 約 19.93 回
- テルル(テルル-128)の 99.9999% 崩壊にかかる時間: 約 4.38×10254.38 \times 10^{25}4.38×1025 年
- 陽子の寿命(10^{34} 年)より長いか? → いいえ、陽子の寿命のほうが圧倒的に長い
- 宇宙全体のテルル原子数(推定)
約 4.72×10714.72 \times 10^{71}4.72×1071 個 - 原子量1未満になるまでの分裂回数(半減期回数)
約 238 回
- 宇宙全体のテルル原子は約 10^{71}個存在する と推定される。
- 半減期ごとに 1/2 に減るため、約 238 回の分裂(半減期)が経過すれば、全宇宙のテルル原子数が 1 未満になる。
- これは、テルルが 99.99999999999999999999999999999999% 崩壊した状態 というレベルになる。
つまり、テルルが完全に消滅するには約 238 回の半減期が必要 ということになる。
計算結果
- 全宇宙のテルルが完全に消滅するまでの時間(238回の半減期)
約 5.24× 10^{26}年 - 陽子の寿命(10^{34} 年)より長いか?
いいえ(陽子の寿命の方が圧倒的に長い) - 陽子の寿命との比率
約 5.24*10^{-8}(つまり陽子の寿命の約 0.000000052 倍の時間)
結論
- テルルの全宇宙の存在量が「原子1個未満」になるまでの時間は、陽子の寿命の約 10^{-8} 倍であり、陽子の寿命と比べると非常に短い。
- 陽子の寿命が尽きるよりも遥かに前に、テルルはほぼ完全に崩壊する。
- よって、陽子崩壊の影響を受ける前に、テルル自体は放射性崩壊によってほぼ完全に消滅する。
つまり、陽子の寿命と比較すると、テルルの消滅は「瞬間的」な出来事と言えるほど短い時間スケールで起こる ということになる。
✅ シックスシグマ(6σ)は 99.99966% の精度を目指す品質管理手法で、実際の不良率は 3.4 PPM(百万分の3.4)。
✅ 99.9999% の崩壊には約 20 回の半減期が必要で、統計的品質管理とは異なるが数値としては類似している。
✅ どちらも「極端に低い誤差・残存率」を扱う、シックスシグマは統計的確率、半減期は物理的指数関数に基づく。
Zero Defect Perfection「99.9999%」という数値のスケール感の参考