セキュリティチェックリスト|IoT・クラウドSaaSのデプロイ時におけるOWASP Top 10

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セキュリティチェックリスト|IoT・クラウドSaaSのデプロイ時におけるOWASP Top 10

Product-Led Organic Growth™が実現しやすいOTAアップデート対応のIoT SaaSサービスのセキュリティチェックリストについて。

OWASP Top 10とは

OWASP(Open Web Application Security Project)は、Webアプリケーションのセキュリティを向上する目的で設立された国際的な非営利団体です。

  • 設立年:2001年(米国)
  • 発祥地:アメリカ合衆国(米国)
  • 目的:Webアプリケーションに対する脅威や脆弱性をオープンに共有・啓蒙し、世界的に安全なWeb開発を促進すること

📋 OWASP Top 10が策定された経緯

OWASPは2003年以降、約3~4年ごとに、Webアプリケーションにおいて最も深刻かつ一般的な脆弱性トップ10をまとめ、『OWASP Top 10』として公開しています。

  • 初版:2003年(以降、3〜4年ごとに改訂)
  • 最新版は2021年版(前回版は2017年版)

🔄 OWASP Top 10のバージョン更新履歴

バージョン公開年
OWASP Top 10 20032003年
OWASP Top 10 20042004年
OWASP Top 10 20072007年
OWASP Top 10 20102010年
OWASP Top 10 20102010年
OWASP Top 10 20102010年
OWASP Top 10 20132013年
OWASP Top 10 20172017年
OWASP Top 10 2021(最新版)2021年

OWASP Top 10の更新頻度は約3~4年です。

🌐 OWASPはどこの国で始まったか?

  • OWASPは米国(米国東海岸、メリーランド州で設立)で誕生しましたが、現在は世界的に広く認知され、国や地域を問わずグローバルな基準として採用されています。
  • 本部はアメリカ合衆国にあり、ヨーロッパ、アジア、南米、アフリカなど世界各地にチャプター(支部)が存在します。

🛡 OWASP Top 10が重要視される理由

  • セキュリティ業界で事実上の世界標準とみなされているため、多くの企業や政府機関が採用しています。
  • PCI DSS(クレジットカード業界セキュリティ基準)や各種業界標準でも参照されています。
  • グローバルなクラウドサービス(AWS/Azure/GCP等)を提供する企業でも、OWASP Top 10に準拠した対策を推奨しています。
項目詳細
発行元OWASP(米国発祥の国際的非営利団体)
最新版2021年版
更新頻度約3~4年ごと
利用範囲グローバル(世界的な標準として利用)
主な用途セキュリティ対策・教育・診断の基準

OWASP Top 10は、WebアプリケーションやIoTクラウドSaaSを安全に運用するために、世界中で広く受け入れられた事実上の標準です。

OWASP Top 10

🚨 1. 認証の破壊(Broken Authentication)

  • 管理画面・APIの認証が二段階認証(MFA)になっているか
  • 認証処理に対しブルートフォース攻撃やアカウントロックアウトを防ぐ仕組みが導入済みか

💻【2. 暗号化通信の失敗(通信傍受リスク)Cryptographic Failures】

  • HTTPS(TLS1.2以上)をすべての通信経路(API, OTA通信, Web通信)で義務化
  • 暗号化にAES-256を採用し、証明書ピンニングを実施しているか
  • クラウドに保存される個人データをAES256等で常に暗号化しているか

🌐【3. インジェクション攻撃 (Injection)】

  • WebやAPIに対してSQLインジェクション、コマンドインジェクション、XSS等の脆弱性診断を定期実施
  • 入力データのバリデーション(入力検証)を徹底的に実施しているか(WAFの導入推奨)

🔑【4. 認証不備 (Broken Authentication)】

  • ログイン認証に多要素認証(MFA)を導入済みか
  • JWTやAPIキーが漏洩した際の即時無効化が可能な仕組みを導入済みか
  • セッション管理(セッションタイムアウトやセッション管理)の安全性を定期的に監査しているか

📁【4. 不適切なアクセス制御 (Broken Access Control)】

  • クラウド環境のアクセス権限(AWS IAM等)を最小権限原則で設定しているか
  • 定期的に権限設定を監査・見直ししているか
  • 不正な権限エスカレーションが発生した際にアラートを送信する仕組みを導入しているか(例:AWS GuardDuty)

⚙️【5. セキュリティ設定ミス (Security Misconfiguration)】

  • AWS Security HubやAWS Configを用いてクラウドの設定ミスをリアルタイムで監査・改善しているか
  • デプロイプロセスを標準化し、設定変更が監査可能(CloudTrail)であるか

📱【6. 脆弱なソフトウェアコンポーネント (Vulnerable and Outdated Components)】

  • デプロイ環境および依存ライブラリ・OSに対し、最新のパッチが定期的に適用されているか
  • 定期的な脆弱性スキャンツール(Dependabot, Snyk等)を利用し、脆弱なコンポーネントの監査と更新を行っているか

📑【7. 識別と認証の失敗 (Identification and Authentication Failures)】

  • ユーザー・デバイス・APIが常に認証済みかつ許可されたものであることを証明できる仕組み(JWT, OAuth2, 証明書ベース認証)を採用しているか
  • 認証時に強度の高いパスワードポリシーを適用しているか

📦【8. ソフトウェアとデータの整合性不備 (Software and Data Integrity Failures)】

  • OTAアップデートファイルに電子署名を行い、デバイスで署名を検証しているか
  • デプロイに用いるパッケージやファイルが、改ざん検知可能な仕組みを持っているか
  • 不正なアップデートを即座に検知・ロールバックする仕組みを整備しているか

📉【9. セキュリティのログ記録と監視の不備 (Security Logging and Monitoring Failures)】

  • AWS CloudTrailやCloudWatchを活用し、あらゆる操作ログを取得し、監査可能にしているか
  • 攻撃や不正アクセスの兆候をAWS GuardDutyやSecurity Hubを通じてリアルタイムに検知・通知する体制が整備されているか
  • ログは改ざん防止が施されたストレージに1年以上保存されているか

📡【10. サーバーサイドリクエストフォージェリ (Server-Side Request Forgery: SSRF)】

  • SSRF攻撃を防止するため、外部リクエスト先のホワイトリスト化を行っているか
  • クラウドサービスの設定で内部メタデータへのアクセスを禁止しているか

📌【OWASP TOP 10 脆弱性一覧(要約)】

No.OWASP脆弱性内容の要約
1Broken Access Control不適切な権限設定
2Cryptographic Failures不適切な暗号化通信・データ保存
3InjectionSQL、XSSなどのコード挿入
4Insecure Designセキュリティを考慮しないシステム設計
5Security Misconfigurationセキュリティ設定のミス
6Vulnerable Components脆弱なソフトウェアコンポーネント利用
7Identification and Authentication Failures認証の不備
8Software and Data Integrity Failuresソフトウェアやデータの改ざん
9Security Logging and Monitoring Failuresログ監視体制の不備
10Server-Side Request Forgery (SSRF)サーバから意図しない内部アクセス

✅【推奨される実践的な対策】

  • OWASP Top 10を定期的(年1回以上)に監査・脆弱性診断を実施
  • OWASP基準を社内でセキュリティポリシーや教育プログラムに組み込み、全スタッフに定期的に教育を実施

OWASP Top 10を基準としてセキュリティチェックリストを作成・管理することで、IoTクラウドSaaSの堅牢な運用体制を実現できます。