スタートアップにおける自然科学のAction principles(最小作用の原理)

注意事項
本記事は未来における技術革新の可能性を検討、技術のフレームワークを経営に応用することについて思索している文章であり、2025年現在における確立した技術について記載している専門的な記事ではありません。
スタートアップは簡単に(自然に)成功することができる。ただし、自然の法則を適切に理解すればという前提条件付きだ。自然が「科学」になる前のメタセマンティクス(meta-semantics)を捉えることができるかの勝負である。例えば、浜辺に行くと、1000回の波の中に1回、他の波とは大きく異なる異常な波が発生するとか、そういうイメージだ。
1.スタートアップは自然科学であるのか?
スタートアップは未知の問題が真であることを主張し(NP-complete)、自身に証明能力があるProverとして検証者(Verifier)を探すゲームである。正当な検証者(Accredited verifier)は何らの情報を得ることなく、NP-completeが真であることを認証することができる。この最小のエネルギーで目的を達成できるという原理は実は自然科学におけるAction Principlesに類似しているのではないか?
スタートアップ成功の定理とMutual Zero-Knowledge Proof (ZKP) フレームワークの活用
1-1.あらゆるNPはZKPを持つ。
すべてのNP言語に対してゼロ知識証明(ZKP)が構成可能であることを証明したのは Oded Goldreich, Silvio Micali, Avi Wigderson による「Proofs that Yield Nothing But Their Validity or All Languages in NP Have Zero-Knowledge Proofs」(1986)である。
- すべてのNP言語はゼロ知識証明を持つ。NP-completeな問題を含む、すべてのNP言語に対してゼロ知識証明(ZKP)が構成可能。
- 特にNP-completeな問題(例:3-SAT、ハミルトン閉路問題など)についてもゼロ知識証明が可能で。
- ゼロ知識証明の基本的な技術として、対話型証明システム(Interactive Proof System, IPS)を導入。
2.NP CompleteとZKPはAction principlesであるのか?
NP完全問題とは、「解が存在すれば、それを多項式時間で検証できるが、解を見つけること自体は困難な問題」の集合を指す。これはスタートアップが取り組むべき、未知の問題であるが、真であることが明らかであり、証明に時間がかかる問題のことである。NP Completeが真であれば、必ずZKPが存在するということは、「真実は、その理由を聞かなくても真実であることが第三者に認証される」ということだ。真実については省エネで認証されうるということだ。
となると、スタートアップが扱うべきは、物理学におけるAction principles(「最小エネルギーの原理」や「最小作用の法則」)であり、物理系が最も安定する状態へ収束、遷移する、「損失関数が最小になる」システムを発案することであると言い換えられる。NP completeとZKPは物理の最小作用の法則の現れであるということについて別の角度から考えてみる。
2-1. NP完全問題と最小エネルギー原理の対応
- 物理の視点からみると、NP完全問題とは、最小エネルギー状態を探索する問題の一種と考えられる。
- 最小エネルギー状態(基底状態)が真の解に対応する。
- 数学の視点からみると、NP完全問題の解は「存在するが計算量的に困難」という特徴を持つが、これは物理系におけるエネルギーの局所最適化と類似している。
2-2. ZKPがAction principlesをVerifyする手法なのか?
ZKPは「ある命題が正しいことを、余計な情報を明かさずに証明する手法」である。
- 最小作用の法則(Action principles/ Principle of Least Action)とは
- 古典力学や量子力学において、物理系は作用(エネルギーの積分)を最小にする経路をとる。
- 物理系の進化は「2点間の距離を最小エネルギーで通過する最適な解」が選択される過程であり、これはZKPの「真であることの検証」に類似している。
- ZKPは、最小作用の法則が正しいことを検証する手法と言えるか?
- ZKPが「ある命題の正しさを証明する技術」ならば、物理系が「最小作用の法則に従って進化していること」を示す手段として機能する可能性がある。
- 例えば、ZKPの概念を適用すると、ある特定の系の基底状態が確率が収束した後の最小エネルギーになっていることを情報を開示せずに検証できるかもしれない。
NP完全問題が最小エネルギー原理と対応し、ZKPはその物理的検証方法の一形態とみなせる可能性がある。
3. 「真である」こととエネルギー収束時の存在確率の関係
NP completeが「真である」ことが1回のZKP transactionで99.999%の精度で簡単に検証されるということは、例えば、電子が原子核の周りに存在する確率は基底状態では99.9999%といった高い値になるという自然現象と類似している。これはMatter(物質)のエネルギーが収束したときの存在確率が限りなく100%に近づくことと同義ではないか。
3.1. 真であることと量子力学
量子力学では、粒子(例えば電子やクオーク)の位置や状態は確率波動関数で記述され、ある状態の存在確率は波動関数の絶対値の二乗に比例する。
- 基底状態(最低エネルギー状態)では、存在確率は最も安定な形をとる。
- 例えば、原子核内のクオークは量子色力学(QCD)に従い、強い相互作用によって閉じ込められる(クオーク閉じ込め)。
- クオークが原子核内に存在する確率は、エネルギーが収束したとき(基底状態であるとき)ほぼ100%に近くなる。
- 波動関数は収束する
- 物質のエネルギーが安定すると、波動関数の揺らぎが減り、波動関数の形が安定し、特定の状態に存在確率が収束する。
- 例えば、電子が原子核の周りに存在する確率は基底状態では99.9999%といった高い値になる。
3.2.真であることと対数関数
「真である」という概念を「物理的な存在確率が限りなく100%の基底状態に近づく」と解釈するとどうだろうか。例えば、波動関数が限りなく100%に収束するという現象と、対数関数におけるネイピア数(e)が2.71…に収束する現象 は、「極限における収束」という概念で共通する。
3.3. 物理学における「真」の定義
「真である」というのは、物理的に次のように考えられる:
- ある物理状態が最小エネルギーに達すると、その状態の存在確率は限りなく100%の基底状態に近づく。物理では二点間の曲線は最速降下曲線を描くよう損失関数を最小化していく。
3.4.コンピューティングにおける「真」の定義
機械学習では、モデルの予測を「真の値(ground truth)」に近づけるために、損失関数(loss function)を最小化するように収束されていくことが発案され、Geofferry Hinton の提案した バックプロパゲーション(Backpropagation) や ボルツマンマシン(Boltzmann Machines) も、このパラメータ最適化の枠組みの中にある。
- ニューラルネットワークでは、パラメータ(重み・バイアス)を調整し、誤差(損失関数)を最小化する。
- これは、データ分布とモデル分布の差をゼロに近づけ、「最適な表現(True Representation)」に収束させるプロセスに相当する。
4. スタートアップと Action Principleの関係性
4.1.スタートアップは自然法則の従属下にある
- スタートアップが取り組むべきNP完全問題は、最小エネルギー原理を記述しているとみなせるのではないか。
- 物理学では最小エネルギー状態が最適解となるが、NP完全問題も計算上の最適解を探す問題であり、対応関係がある。
- スタートアップの主張をverifyするためのZKP techniqueは、自然科学における最小作用の法則をVerifyする手法であると言えるのではないか。
- 物理系が最適解(最小作用の経路)をとることの観測と、情報を開示せずに形式的に真実性を検証するZKPのプロセスが類似している。
- 「真である」ことは、エネルギーが収束したときの存在確率が基底状態である100%に限りなく近づくことと同義ではないか。
- 簡単に言えば、「コーヒーを飲もうと缶を手で掴み、口に運んだ時に頭からつま先までコーヒーまみれになる確率が0%に限りなく近いということ」と類似している。
Product-led organic growth (プロダクト主導のオーガニックグロース)とは、NPにZKPがあるということが証明された時代におけるVerifier獲得の最小エネルギー化に関する、新たなイノベーションである。
4.2.メタセマンティクスを明らかにする
計算理論(NP完全・ZKP)、物理学(最小エネルギー・量子力学)、コンピューティング(機械学習など)の概念は、根本的な原理でつながっている可能性が高いとすると、スタートアップの成長に伴って発生する様々な問題を解決するために必要なことは「太陽が毎日昇る(cosmological pattern)」とか、「水が山から海に落ちて雲になって雨が降る(hydrologic cycle)」とか、「自然に流れる周期性と周期性の破れを見極める(parity & parity violation)」ということになる。あるいは時間反転対称性や、電磁波的な運動の上位にある時空特性というメタセマンティクス(meta-semantics)について考えるということと同義になるのではないか。
5.自然の法則を見極める(Law of nature)
5.1.自然法則を見極められばOpportunityは目の前に転がっている
ハイパーグロースするスタートアップは自然科学、物理学、経済学における真実(最小作用の法則)を扱っているという主張をTANAAKKは持っているが、これは明らかな真実として受け入れられているかというとそうではなく、現在のところNP-completeの状態であり、まだNP-easyとなってはいない類の問題ではないかと考えている。そのような意味で、この21世紀のスタートアップにはまだまだ多くのOpportunityが眠っていると言えるのではないか。
5.2.スタートアップは簡単に(自然に)成功することができる
世の中の多くの会社や政府が自然法則に則っているわけではないことから、NP-completeは多く存在することがわかり、スタートアップが成功できることは明らかであり、実現するのはいとも簡単である。(簡単でなければAction Principlesに反する)どのくらい簡単であるかというと、朝目が覚めて、起き上がるのと同じくらい簡単であり、水道で顔を洗って、歯磨き粉をつけて歯を磨くくらい簡単である。地球上のあらゆる活動が、太陽系のエネルギーの利活用であり、あらゆる生命体は銀河や惑星の質量の影響下にあり、E=mc^2に証明されているように、自然の質量には膨大なエネルギーが潜んでいる。自然にできていること以外、人間は実現することができないことは明らかであるが、多くの人にとっては証明が困難なNP-complete問題であろう。スタートアップとはライフスタイルである。ライフスタイルが多くの人たちと異なっていれば、日常生活で気づくものも大きく異なるので、自然とうまくいくのだ。